書籍出版の企画検討でClaude 3(さん)と読者ペルソナ作成 生成AIと仕事するとこうなった
世は生成AI花盛り。
読者のみなさんは、仕事でAIを使ったことがありますか?
本サイトのオーナー「テック大家さん」は最近、技術書籍の出版を目指して企画検討しています。その中で、想定読者を設定したいと考えました。読者を想定したうえで、実際にそのターゲットになりそうな人にヒアリングしつつ書籍の内容を検討する、という手順を踏みたいと考えたのです。
「敷居高いなー、そんな人周りにいないよー、どうするか…?」
まずは最低限、読者のペルソナを作成してして具体的に読者をイメージしようと考えました。そこで思いつきました。
「そうだ、AIにペルソナ作ってもらえばいいじゃん!」
ということで、本日はAIを使った読者ペルソナ作成の体験をご紹介します。
ペルソナ作成 議論の相手は”クロードさん”(Claude3)
チャット形式の生成AIは OpenAI 社のChatGPTが有名ですが、最近ネットでClaude3というAIが優秀だというのコメントを目にしました。印象派画家「クロード・モネ」の名前を持つAIです。
そう、「クロードさん」です。
ちょっと触ってみたところ、画像の解釈がすごい。写真を与えると写真に写っているものをいちいち説明してくれます。うーん、すごい…。会話も自然です。
クロードさんに相談することにしましょう。URLは以下です↓
ペルソナを作るために何が必要なのかを聞く
まずは、相談してみました。どんな情報を与えると、読者ペルソナを作ってくれるのかい?と。
技術者向けの本を出版したいと考えている。現在、企画段階なのだが読者ペルソナを作りたい。君に協力してほしい。どんな情報があればよいか、箇条書きでお願いします
するこんな回答が。
技術者向けの書籍を企画する際、読者ペルソナを作成するための有用な情報は以下の通りです。
・対象とする技術者の経験年数 (初心者、中級者、上級者など)
・対象とする技術分野 (プログラミング言語、フレームワーク、クラウド、セキュリティなど)
年齢層
・所属業界 (ウェブ開発、ゲーム、金融など)
・勤務形態 (社員、フリーランス、学生など)
・目的 (スキルアップ、転職、副業、趣味など)
・技術的背景 (プログラミングスタイル、使用ツール、OSなど)
・住居地域 (国内、海外、特定の都市など)
・興味関心 (最新トレンド、実践的な知識、理論的な解説など)
・学習スタイル (実践的、理論的、事例を重視するかなど)
・利用シーン (仕事、個人開発、勉強会など)
・期待する書籍の分量、価格帯
・購入経路 (書店、オンライン、勉強会など)
これらの情報を詳しく把握することで、ターゲット読者のニーズに合った書籍を企画できます。
おー。良いじゃない。わかったわかった。じゃ、筆者が今考えている想定読者に関する情報を教えてあげようじゃないの。
最初に作ってくれたペルソナはイマイチ…
そこで、以下のようなお願いをしてみました。
以下の情報で読者ペルソナを2作ってください。もし2つ作りにくい場合は、必要な情報を教えて下さい。
対象とする技術者の経験年数: 初心者
対象とする技術分野: HTTPプロトコル/RESTapi/認証/JavaScript/TypeScript/Arduino
年齢層: 20代
所属業界: IoTシステム開発、スマートホーム統合
勤務形態: 社員
目的: スキルアップ(知識向上)
技術的背景: ネットワークプログラミング初心者がシステム開発のはじめの一歩がほしい。Macで開発。VS codeなどの使用経験がある初心者
住居地域: 国内
興味関心: IoT技術、スマートホーム、ネットワーク・Web技術、プログラミング、IoTガジェット
利用シーン: スキルアップ、技術的探求
学習スタイル] 実践的。やりながら学ぶ
期待する書籍の分量、価格帯: 200ページ前後。2000円から5000円。
購入経路: オンライン
すると彼は、なんの質問もなく、こんな感じで2つのペルソナを作ってくれたのでした。
以下の2つの読者ペルソナを作成しました。
【ペルソナ1】
名前: 田中太郎
年齢: 25歳
職業: IoTシステム開発企業の社員エンジニア
概要: 田中は大学でネットワークの基礎を学んだものの、実務経験が浅く、IoTシステム開発の基礎知識を求めている。Macを使いこなし、VS Codeの操作には慣れている。休日にIoTガジェットを触ったり、スマートホーム機器を導入するなど、IoT技術に強い関心がある。実践を重視し、手を動かしながら学ぶスタイルを好む。今後スキルアップを図り、より難易度の高いIoTシステム開発に携わりたいと考えている。
【ペルソナ2】
名前: 鈴木花子
年齢: 27歳
職業: スマートホームシステムインテグレーター
概要: 鈴木は学生時代にWebプログラミングの基礎を学んだ。JavaScriptやNode.jsには興味があるものの、実務で使う機会が少なく、まだ初心者レベル。IoTデバイスとクラウドを連携させたスマートホームシステムの開発を任されており、HTTPやRESTAPI、認証の知識が必要となった。無線通信の仕組みやArduinoなど、IoTシステムの基盤技術を幅広く実践的に学びたいと考えている。書籍ではサンプルコードが豊富で、作りながら学べるものを望んでいる。
以上2つのペルソナで、対象情報を満たすことができたと思いますが、不足する点があれば追加の情報提供をお願いします。
おー。すごいね。でも、読んでみると、なーんか筆者がインプットした情報からあまり離れていない内容。ほんとに考えたんかい?と思える。
うーん。どうしよう。
Claude3と議論をしてペルソナを深堀りする
そこで、筆者テック大家さんは疑問がわきます。
「このペルソナに向けて本を書くとしたら、どの段階の技術解説を入れ込めばいいんだろう?」と。
そこで、こんな質問を投げかけてみました。
君が作ったペルソナをすこし掘り下げたい。彼らは、どういう大学のどんな学科を卒業しているのだろう?ベースとして何を知っていることを想定できるだろうか。
すると、彼は少し考えてくれました。
分かりました。読者ペルソナをより詳細化するために、彼らの学歴や技術的背景についてもう少し掘り下げましょう。
【ペルソナ1: 田中太郎】
大学: 国立大学の工学部情報工学科を卒業
学んだ内容:プログラミングの基礎(C/Java)
データ構造とアルゴリズム
コンピュータネットワーク概論
ネットワークプロトコル(TCP/IP, HTTP等)
データベース概論
卒業研究でIoTシステムの構築に取り組み、ネットワーク通信の基礎は理解している
【ペルソナ2: 鈴木花子】
大学: 私立大学の理工学部情報科学科を卒業
学んだ内容:プログラミングの基礎(C/Java/Python)
Webシステム概論(HTMLやCSSの基礎も)
JavaScript/Node.jsの基礎
ネットワークセキュリティ入門
卒業制作でWebアプリ開発に取り組み、フロントエンド/バックエンド双方の基礎は理解している
以上のように想定すると、ネットワークの基礎知識や、プログラミングの基本的な文法などは理解している初心者レベルと考えられます。書籍ではそこから更に実践的なIoT/ネットワークプログラミングの知識を身につけられるような内容が求められそうです。
お、いいね。クロードさん、わかってらっしゃる。
さらに深ぼる。ペルソナの普段の生活は?
調子に乗ったテック大家さんは更に深ぼることにしました。クロードさんが考えるペルソナに対する興味がだんだんと湧いてきたのでした。
彼らの好奇心や関心事に関しても少し掘り下げましょうか。例えば、普段使うガジェットや、よく利用するサービス、興味の対象、知人・友人とのコミュニケーションの方法など
クロードさんもだんだんと乗ってきた感があります。
以下のように考えてくれたのです。
はい、分かりました。読者ペルソナのさらなる詳細を追加しましょう。
【ペルソナ1: 田中太郎】
趣味でIoTガジェットを集めている。スマートスピーカー、スマートライト、ドアベルカメラなど。
スマホアプリを使ってそれらのデバイスを操作できるのが便利だと感じている。
家電の賢い連携に関心があり、IFTTT(IfThisThenThat)のようなサービスに興味がある。
技術系YouTubeチャンネルやブログをよく見ている。新しいガジェットの紹介動画が好き。
会社の同期とオンライン上で技術情報を共有し合う仲間がいる。SlackなどでIoTに関する話題で盛り上がることも。
【ペルソナ2: 鈴木花子】
自宅にスマートリモコンやスマートロック、センサー類を導入してスマートホーム化を目指している。
スマホアプリを介してデバイス同士を連携させたいと考えている。
クラウドサービスとの連携にも関心があり、データ解析の可能性に惹かれている。
オンラインのIoTユーザーコミュニティに参加し、実際のユーザーの声を収集したりしている。
技術ブログでIoT関連の記事を読んだり、カンファレンスの動画を視聴したりしている。
このように、実際のIoT/スマートホームの製品やサービスに興味を持ち、より利便性の高い生活を実現したいという思いが強いと想定できます。また、オンラインコミュニティを通じて他のユーザーや技術者と交流し、新しい知識を得ようとする姿勢もあります。
こうした好奇心や実用性へのニーズを念頭に置きながら、実例や体験を交えた実践的な解説をすることで、読者の興味をより惹きつけられる書籍になるはずです。
鈴木花子さんって意外とマニアックねぇ。でも、いいんじゃないかい?
さらに深堀り。ペルソナはどんなところに住んでいるのか?
こうなってくると、テック大家さんとしては、ペルソナの田中くんと鈴木さんはどんなところに住んでいるのでしょう、気になってきてしまいました。
そこで以下のように聞いてみました。
彼らは、どんな家に住んでいるだろう?一人暮らしの賃貸?または、親と同居で一軒家?パートナーとマンション暮らし?どうだろうね
彼の答えはこうでした。
なるほど、住環境についても想像を巡らせるのが良いですね。ペルソナのより具体的なライフスタイルが浮かび上がってくると思います。
【ペルソナ1: 田中太郎】
一人暮らし。都心の比較的新しい賃貸マンションに住む。
1LDKの広さで、リビングにIoTガジェットを並べている。
家賃は高めだが、最新の設備が整っており、スマートホームデバイスを自在に設置できる。
一人暮らしならではの生活リズムで、レイトな夜型の生活パターン。
休日はマンションのコワーキングスペースでリモートワークすることも。
【ペルソナ2: 鈴木花子】
実家に同居。郊外の一軒家に両親と住む。
広い家なので、自由に部屋を模様替えしてスマートホーム化できる。
リビングやキッチン、寝室などにIoTデバイスを設置し、家族にも体験してもらっている。
週末は両親の協力を得て、さまざまな試行錯誤ができる。
立地は都心から離れているが、通勤時間を有効活用してオンラインで技術学習する。
このように、生活環境に合わせてIoT/スマートホームの実践ができる点に違いはあれど、いずれも自由度の高い環境で試行錯誤
「なるほど」とか言ってきました。ほんとに実在の人間と議論をしているように思えてきますねぇ。相手はAIですよ?すごいね、こいつ。
最初に回答してくれたペルソナから比べると、ずいぶんと具体的な人物像が見えてきた感じがしませんか?
ペルソナを視覚化するために画像生成できる?
ここまで来ると、田中さんや鈴木さんがどんな人物なのか視覚化したくなりました。
そこで画像生成をお願いしてみます。
君は画像生成もできるんだっけ?ペルソナを具体的にイメージできるような、ライフスタイルを表現したような、写真とか、スケッチ、みたいなものは作れるの?
が、あいにくクロードさんにはその能力がないようでした。
残念ながら、私には画像を生成する機能はありません。テキストベースでのやり取りのみが可能です。しかし、あなたが提示してくれた詳細な情報から、ペルソナのライフスタイルをかなり具体的にイメージすることはできます。
残念ながら画像生成はできなようなので、他の生成AIにペルソナを説明する画像を作ってもらいましょう。
ベルソナのイメージをBingさんにお願い
さて、世の中にはテキストから画像生成してくれるAIが存在します。
その中の一つ、以下のサイトを使って田中くんと鈴木さんを映像化したところ…
Microsoft Designer の Image Creator (bing.com)
こんないい感じのイメージが出来上がりました↓
小説家になりきってClaude3がペルソナを語る
クロードさんには別の作業を依頼します。ペルソナについてもっと語ってもらうことにしました。
そこで、こんなことをお願いしてみます。
鈴木花子さんのある日の1日をドキュメンタリー風にテキストで描写して文字でストーリーを作ってください。
こんな無茶ぶりに、クロードさんは文句も言わず、ペルソナ鈴木さんの生活を時間軸にしたがって、以下のような文章にしてくれました。
分かりました。鈴木花子のある1日をドキュメンタリー風に描写したストーリーを作成します。
※朝:鈴木花子は実家の一軒家で目覚める。スマートスピーカーに「おはよう」と声をかけると、カーテンが自動で開き、お気に入りの音楽が流れ始める。
※朝食:キッチンに行くと、スマートオーブンで自動調理された朝食が用意されている。タブレットでスマートホーム連携アプリを操作し、食器棚からお気に入りの器を選んで朝食をとる。
※出勤:自宅を出る前に、スマートロックのアプリで施錠を確認。駅までの道すがら、テクニカルブログの最新記事を読みながら通勤電車に乗る。
※勤務中:スマートホームシステムインテグレーターとして働く。クラウドサーバーとIoTデバイスの連携方法を検討したり、新製品の分析をする。昼休みは同僚とIoT関連の技術話で盛り上がる。
※帰宅:家に着くと、モーションセンサーが人の存在を感知し、玄関のライトが自動点灯。リビングに用意したArduinoボードで新しいスマートホームアプリの作成に没頭する。
※夜:両親と夕食を囲む。食事中に家電の自動操作でできたメニューを出す。家族に新アプリのデモを見せ、感想を聞きながらブラッシュアップのヒントを得る。
※深夜:オンラインIoTコミュニティに参加し、作成中のアプリに関する質問をする。回答をもとに改善点を見つけ、就寝前にひらめいたアイデアをメモする。
以上のようなストーリーを想定してみました。朝から深夜まで、鈴木花子のIoT/スマートホームにフォーカスした1日を描写しています。
うーん。流石にちょっとIoTにフォーカスしすぎじゃないの?
そう考えてこの後、少し修正のためのやり取りをします。しかし、一向に私が思うようなドキュメンタリータッチの文章になりません。
そこで、極めつけのこのお願い。
じゃ今度は、君が芥川賞の小説家になりきって、物語風に鈴木花子さんをの日常を描いたらどうなる?
すると…
はい、分かりました。芥川賞作家になりきって、鈴木花子の日常を物語風に描写してみます。
やがて夜は更けて参り、月の光はスマートホームを彩る無数のデバイスたちに、きらきらと反射していた。
鈴木花子はパソコンの前で、眉間に小しわを寄せている。コーディングに熱中するあまり、世間は深夜をとうに越えていた。彼女の指先は、キーボードを舞うばかりに飛び交い、モニターいっぱいに広がるコード行からは、新しいIoTアプリの姿が少しずつ形作られていく。
「できた!」 小さな声が、静まり返った部屋に溢れた。
ようやく鈴木は背筋を伸ばし、大きくストレッチをした。アプリの起動に成功したのだ。
手持ちのスマートライトが、新しい制御プログラムに呼応するかのように、鈴木の勝ち誇ったような表情を照らし出す。だがそこには喜びよりも、未だ課題の山と渦巻く思索が宿っていた。
鈴木は休息を賭けてでも、この機会を逃したくなかった。オンラインコミュニティに接続し、アドバイスを求めた。
やがてモニターに映し出された、世界中の仲間からの意見が、アイデアの相乗効果を生み出していく――。
翌朝、陽は鈴木が働きつくした形跡を射し、新たなる1日の幕を開けようとしていた。
以上のように、プロの小説家になりすまし、鈴木花子の日常をドラマティックに物語風に描写してみました。コーディングやアプリ開発への情熱、オンラインコミュニティとの交流など、ペルソナの特徴を盛り込みつつ、小説らしい文体で表現してみました。状況や心情を詳細に描写することで、リアリティを高められたと思います。
きたーーー。
いいよ、クロードさん。素晴らしい!
コラボレーションによる最終成果物
議論の結果をまとめると、以下のような資料が出来上がりました。
人間(筆者)がやったのは議論と最後のまとめ(Canvaで作りました)。
いやー。生成AI使うっていいねぇ。
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